読書20,21「東山魁夷 Art Album 第一巻 美しい日本への旅」「第二巻 森と湖の国への旅」(2008年)
東山魁夷さんの作品を編年順に紹介したアルバム。
全3巻あるようだが,図書館には1、2巻しかなかったので3巻はまだ見れていない。
(イメージミュージック)
掲載された作品の中で気に入ったのは
「郷愁」「海の雲」「夕紅」「瀧」「行く春」「青い峡」「夕鈴」「夏深む」「夕静寂」
(以上1巻)
「白樺の丘」「二つの月」「山湖遥か」「窓」「 緑響く」「静唱」「望春」「風渡る丘」
(以上2巻)
他にも多くの素敵な作品が掲載されていたが,その中でも特に印象に残った作品を挙げた。
特に1巻の8番目に掲載されていた「郷愁」という絵に心奪われた。
私が好きな瞬間を見事に表現できていて驚いた。
このページを開いた一瞬,時が止まったように感じた。
この絵が実際にどの時間帯を描いたものかは分からないが,日が昇る少し前の外が明るくなってきて,薄く青白くぼんやりしているような瞬間のように見える。
私はこの瞬間が心底好きだ。
毛布をかけないと少し肌寒い朝の空気が,部屋の中を静かに満たしている瞬間。
カーテンの隙間から差し込む外の少しぼやけた淡い光と,青白く照らされた部屋の中。
1日の中でも希少な非現実的な時間。
夢と現実の狭間にいるような感覚。
現実ではあるが,浮遊しているような包まれている感覚がこれから失われていく瞬間。
厳しくも実感を伴う現実が目の前に迫っていることを予感させる光が,今いるふわふわした時間を愛おしく感じさせる。
こんな感じを「郷愁」が思い出させた。
写真では表現できない感じを表現していて,これこそ絵の醍醐味だと感じた。
写真は出来事を思い出させるのが得意だが,絵はその時の感覚や感情を思い出させるのが得意だ。
そんな発見をさせられた。
2018年11月25日(日) 14:55