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読書19「東山魁夷への旅」

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今年(2018年)の11月に,六本木の国立新美術館で行われた東山魁夷さんの展示会に行った。

 

東山魁夷さんの絵は親は好きだったので,幼少期の頃から存在は知っていた。

 

ちょうど,この本の表紙絵になっている「緑響く」は記憶にもある。

 

子ども心にも静かに響く強さを持っていた。

 

彼の本物の絵を実際に観るのは初めてだったのでかなり期待して観たが,それを遥かに超える感動を彼の絵は与えてくれた。

 

実際の絵の大きさ,筆使いや色使いの息づかい,雰囲気,全てに圧倒された。

 

大学時代に美術館巡りをしていたが,これほどの感動を覚えたことは過去に一度もなかった。

 

展示コーナーの部屋が変わって,すぐにある唐招提寺御影堂障壁画の「濤声」を観たときには,その絵の圧倒的なスケール,大きいながらも変わらぬ絵の息づかい,すべてが心を掴み離さなかった。

 

また,続く「山雲」には訳の分からないまま何かがこみ上げてくるのを感じそれを抑えるのでいっぱいだった。

 

その後に「緑響く」「白馬の森」といった彼を代表する作品が続いたが,絵の大きさでは障壁画に優らずとも,絵から伝わる静かな衝撃はさらに大きなものだった。

 

こんなにも優しく,心が落ち着く景色を描き,色づかいをしている絵なのにどうしてここまで心が惹かれるのか。

 

その時の自分には分からなかったし,今でもはっきりしたことは分からない。

 

しかし,彼の絵がもつ静かな衝撃が私の中に大きななにかを置いていったことは間違いのないことであると言いきれる。

 

今回の展示にはなかった作品も,一生のうちに実際に見てみたい。

 

話がだいぶ逸れたが,この本は東山魁夷さん自身,そして彼の絵を知る入門書としては内容,厚さともにぴったりだと感じた。

 

2018年11月24日(土) 21:31