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映画36「アンニュイ〜倦怠の季節〜」(2012年/86分)

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https://movies.yahoo.co.jp/movie/アンニュイ%E3%80%80~倦怠の季節~/350482/

 

愛しているからこそセックスができないというのは,裏を返せば愛していないからこそセックスができるとも取れる。

 

坊主の中年男性は,パートナーを愛しているからこそ彼女とセックスができないでいる。

 

その代わりに,娼婦と激しいセックスをし,パートナーには他の男性とセックスをするように勧める。

 

“愛しているから”

 

鑑賞後に珍しくYahoo!の口コミレビューを見たが,退屈な映画だったという感想が見られた。

 

同じ感想を抱いたが,この映画を現地の人が見たらまた違う感想なのかなぁと想像した。

 

日本人には感じにくい感性が描かれているのかもしれない。

 

ただ退屈だった,つまらなかったで終わらせたくない映画だった。

 

たしかに,万国共通のおもしろさや感動が盛り込まれている訳ではなかったが,ところどころに共感する部分や,疑似体験できる面があった。

 

この映画を観ている時に,祖母が部屋に入ってきて線香をあげに来ていた。

 

話しかけないでくれ,干渉しないでくれという気持ちでいっぱいだった。

 

気にはしていたようだったが,声をかけないでくれたが,普段如何に干渉してくるかを再認識した。

 

ちょうど同じタイミングで,(映画の後半に出てくる新しい)男性が主人公の彼女と身体の関係を持った後のシーンで,彼女がその男性に対して「あなたといると捕らわれている気持ちになる」と言い残し別れるシーンだった。

 

この気持ちに共感をしたし,過去に(立場は逆だが)同じような境遇にあったので,相手側の心境を追体験したような気になった。

 

さらに,その直後の男性のセリフの「彼女が憎い。利用されたのだ。不快な気持ちが残っている。」にも共感した。

 

こちらは,ここ数ヶ月でじわじわと湧いてきている感情で,その感情を生々しく思い出させた。

 

そう。当時はそれでいいと思ったが,今では不快なのだ。

 

口先で綺麗な言葉を並べているが,防衛反応だろう。

 

距離を置くと,あの発言は自己正当化や自己防衛だったのだろう,ということがよく見えてくる。

 

そして,真実はもっと人間味があってズルく小賢しいものなのだということも。

 

たしかに不快ではあるが,それは人間らしく面白いことであるので,それを否定するつもりはない。

 

自転車で移動している時によく考えることを思い出させる内容の映画だった。

 

2018年11月25日(日) 10:51