映画13「キャロル」(ドラマ/ロマンス)
※今回の記録はネタバレを含みます。
carol-movie.com/sp/
最近知り合った方からおススメされた映画。
シンプルなタイトルに,美しい女性が2人描かれたパッケージ。
上の女性がキャロルだが,パッケージ全体の配色もキャロルをイメージしのか,バレンタイン,クリスマスといったロマンス的な雰囲気を漂わせている。
タイトルにあるようにキャロルが主人公として設定されているのだろうが,私が観た感想としてはテレーズ(キャロルの下に描かれている女性)が主人公のように感じた。
なので,この記録にはテレーズを主人公として扱うことにする。
ストーリーは,最初にキャロルとテレーズが食事をしている場面から始まる(正確には,テレーズの知り合いが歩いて,途中でテレーズを見かけ,声をかけるという流れ)。
このシーンはこの映画のラストに繋がる場面で,このシーンの後から本編が始まる。
主人公のテレーズは,デパートのおもちゃ売り場で販売をしている独身の女性。
一応彼氏がいて結婚も申し込まれるが,彼女の中で気持ちの整理がつかずにいて葛藤を抱えている様子。
彼女は,自分がどうしたいのか,何をしたいのかが自分でも分からず,周囲の意見や言動に流されてしまうことを悩んでいた。
そんなある日,彼女の担当する売り場に高価な衣服,装飾を身につけ,金色の髪を静かに揺らしながらゆったりとした動作で売り場を見て歩く女性が来た。キャロルだ。
彼女はなにかを探しているようで,レジまで来るとテレーズに「子どもに買うおもちゃを探している。どこにあるか。」と尋ねた。
しかし,彼女の求めるおもちゃは売り切れてしまっていた。
キャロルは,テレーズにオススメのおもちゃはあるか,と尋ねた。
テレーズはおもちゃの提案と案内をし,キャロルは礼を言いその場を立ち去る。
その時,キャロルは手袋を忘れていった。
これが,この2人の物語の始まりとなる。
その後,なんやかんやあって2人は深い関係になる。
2人が裸で絡むシーンがあるのだが,以前観た「アデルブルーは熱い色」(187分)を思い出した。
この映画ほど激しいシーンではなかったが,その分,伝わってくる感情・メッセージも違った。
アデルブルーは,「これでもか!これでもか!」と言わんばかりの濃厚で長い(数分間)セックスシーン(レズ)があり,愛情よりも欲情という言葉が合いそうな感じ。
対して,キャロルでは、静かに湧き上がり溢れ出した愛欲,性愛,といった言葉が当てはまるようなセックスシーンだった。
私としては、キャロルのようなお互いを慈しみ合いながら盛り上がっていくシーンが好きだ。
互いが体の関係を持った後に,さまざまなトラブルが起こり2人は距離を置くことになる。
一方的に距離を置かれたのはテレーズで,別れてしばらくはキャロルのことが頭から離れず、会いたいという気持ちに苦しめられる。
しかし時が経つにつれて,彼女の気持ちにも変化が起き,キャロルからのアプローチにも応えなくなる。
立場が逆転したのだ。
しかし,最後のシーンではテレーズはキャロルの元に足を運んでいた。
首をかしげ,テレーズを見つめるキャロルの口元には笑みが浮かびあがる。
ここで映画は終わった。
この映画で1番印象に残ったセリフは,テレーズの元から離れていったキャロルがテレーズに宛てた手紙だ。
(字幕)
「最愛の人へ
偶然の出来事などない
彼は いずれ 私たちを見つけたわ
すべては元に戻るのよ
そうなる運命なら早いほうがいい
ひどいと思うでしょうけど
どんな説明をしても虚しいわ
どうか怒らないで
あなたは若いから解決や説明を求めるでしょう
でもいつか分かる時がくる
そして その時ー
あなたを心から迎え入れる
私たちの人生には永遠の夜明けが待つのよ
でも それまでは お互いに連絡し合わないこと
私は用事が多いし
あなたはもっと忙しいはず
信じて あなたが幸せになるならなんでもする」
その後,あるシーンでキャロルが夫に言い放った言葉を載せて終わる。
『自分を偽る生き方では 私の存在意義がない』
2018年10月11日(木) 15:45