読書23「もっと知りたい パウル・クレー」(新藤真知/2011年)
以前から気になっていた画家,パウル・クレーの「もっと知りたい」シリーズを借りて読んだ。
クレーの描く絵が好き…と言うより,惹かれていつか読もうと思って3回ほど借りてやっと読むに至った。
何か惹かれるなぁ,と思いながらパラパラとページをめくるが,何に惹かれているのか自分でもうまく言葉にできない。
技術は高いが説明的な宗教画が嫌い(というか苦手)で,どちらかというと抽象画を好む傾向にあるので,ざっくり言うと抽象的な表現に惹かれたのだと思う。
ただそれだと抽象的表現の全てに惹かれているように聞こえるが,そうではない。
抽象画でもあまり好きではない,惹かれない絵はあるし,写実的な絵や,風景画などにも好きな絵は多いと思う。
彼の絵のどこに惹かれたのか。
それは読み進めていくうちになんとなく分かってきた。
最近,私は絵を描くことにハマっている。
特に,これといったテーマを決めて描くわけでもなく,なにかを見て描くわけでもない。
まず,紙にボールペンを走らせて,そこからみえてきたもので,その絵の方向性を決めて描きあげていく感じだ。
タイトルは描きあげてから決めることがほとんどで,描いている最中に思いつくイメージや思想などを絵で表現していく。
実は,この描きあげてからタイトルを決めるというのは偶然にもパウル・クレーと同じことをしていたようなのだ。
さらに,彼の絵は素描が多く,線だけの絵(色などがない)や,一見落書きのように見える絵も描いている。
また,本書の解説文に書かれていたことも,私が絵を描くうえで(結果的に)意識していることだった。
(どこに書いてあったか見つからなかったので,抜粋できないが)『彼の絵は,見る者の解釈に委ねる…』といった内容のことが書いてあり,それを読んだときは,同類を発見したようで少し胸が踊った。(こちらが勝手に同一化しているだけかもしれないが)
おそらく,最近私が描いている絵は,彼やカンディンスキーの絵をネットで見つけて,それに影響を受けているのかもしれない。
クレーやカンディンスキーが,実際にどういう想いで絵を描き世に出したのかは分からないが,彼らの絵から私が受け取った(非言語的な)メッセージが私の絵に影響を及ぼすていることは違いないと思う。
自分の内面を絵によって表現するハードルが,クレーやカンディンスキーらの絵を見たことによってグンと下がった。
私が彼らの絵をものすごく理解しているとか,美大に通って絵について勉強したとか,そういうことではなく。
彼らの絵を見て,私が解釈したメッセージが,私自身に絵を描くことを許した,とも言える。
(私の描いた絵が,彼等と同等,もしくはそれ以上だという意味ではないので悪しからず。)
決まった様式を外れて(外して),自分の内面を表現したクレーの相対的な自由さに私は救われた気がする。
「もっと知りたい」シリーズの、カンディンスキーも借りてあるので早速読んでいきたい。
最後に,私が描いている絵を紹介して終わりたい。
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2018年11月28日(水) 16:07